侍女・阿月のモデル人物を検証してみた【どうする家康】お市の方の侍女・盛秀

阿月(あづき)とは

2023年NHK大河ドラマ「どうする家康」にて、お市の方徳川家康をつなぐ浅井家の侍女・阿月が登場し、俳優(女優)の伊東蒼さんが演じられる。

織田信長最大のピンチと言える「金ヶ崎の戦い」の際に、浅井長政の裏切りを、妻・お市の方(織田信長の妹)が知らせたと言う逸話もある。
一説によると、両端をヒモで結んだ小豆の袋を送り「信長が袋の鼠の状態にいる」という危険を知らせる無言のメッセージだったと「朝倉家記」に記載されている。
しかし、普通に書状を送ったり、伝令を出せばよい話なので、さすがに「あずき」の件は、おもしろおかしくするための創作だと考えられる。
どうする家康では、お市の方の侍女が「あづき」という名前のため、小豆の袋の逸話を考慮していることだろう。





戦国時代の1570年4月、浅井長政と同盟していた織田信長は、越前・朝倉氏を滅ぼすため越前に侵攻。
公家・山科言継(やましな・ときつぐ)の日記「言継卿記」によると、このとき織田勢に従っていたのは徳川家康、池田勝正、木下秀吉、明智光秀松永久秀、日野輝資、飛鳥井雅敦、若狭衆ら3万となる。

4月25日、天筒山城を占領すると、翌日には越前・金ヶ崎城の朝倉景恒が降伏した。
朝倉景恒は一乗谷城へ逃れたようだが、朝倉一族の恥とされ、永平寺に入ると約6ヶ月後に死去している。

金ヶ崎の戦い

なお、織田勢は金ヶ崎城を落としたが討死した兵は2000ともされ疲弊していたと推測できる。
そこを近江・小谷城の浅井長政がタイミングよく裏切った。

前述したとおり、お市の方が両端を紐で結んだ小豆袋を秘かに兄・織田信長に送って、浅井長政(1万)の裏切りを知らせたと言う逸話もある。
妹を嫁がせた浅井長政の裏切を最初は信用しなかった織田信長も、浅井勢が近江・海津へ進出したと続報がもたらされると、朝倉義景(1万5000)からと挟み撃ちにされる恐れがあったことから、撤退することにした。

金ヶ崎の退き口

さて、お市の方の侍女として知らせる女性は「盛秀」と言う人物の話がある。
盛秀は、小谷城が落城した際に、お市の方と三姉妹に付き添ったと伝わる侍女として伝わる。
3人の侍女が供をしたと言うが盛秀は、池奥の民家で3姉妹を古い野良着に着替えさせ、北野へ降りて行った言い、その道は今でも「こじき坂」と呼ばれているようだ。
そして、平塚の実宰院へ逃れ、浅井長政の姉である見久尼に三姉妹を匿うよう依頼したと言う。





滋賀県長浜市北野町に、その盛秀の墓とされる浅井家侍女の墓がある。
ただし、金ヶ崎の戦いの際にドラマで登場する侍女・阿月と盛秀の接点は感じられない。
と言う事で「どうする家康」での侍女・阿月は「あずき」にかけた創作上の人物と言う事になるだろう。

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